水田房次郎と四国最初の川島排水機場(吉野川市)

徳島県吉野川市川島町の川島排水機場敷地内には四国最初の排水機場の整備に尽力した水田房次郎(みずたふさじろう) 功績を讃えた「治水拓運の碑」が建立されています。この石碑のある川島内水地域の現地調査、文献調査の結果から紹介します。

水田房次郎は、水害に苦しむ住民を救うため「町を治めんとする者は水を治めざるべからず」という強い信念のもと、昭和34年に川島町長に当選しました 。

昭和36年9月の第2室戸台風で激甚な内水被害が発生したことを契機に、水田町長は四国で初めてとなる川島排水機場の整備(吐出量6.0m3/sの大型ポンプ2台・昭和39年度完成)を推進しました 。用地買収では、生活に困る人々に自分の土地を提供するなど、その温情と私利私欲のない人柄は、多くの人々の心を動かしたと伝えられています 。

その後、昭和47年には、彼の功績を讃えて川島排水機場敷地内に**「治水拓運の碑」**が建立されました 。排水機場は、完成後40年以上が経過し老朽化が進んだため、平成21年度に既設排水機場は撤去され改築12.0m3/s+新設6.0m3/sの排水規模18.0m3/sに更新・増設され、現在も地域の安全を守る役割を果たしています 。

この歴史から得られる教訓は、以下の3つが示されていると考えます。

一つは防災意識の継承です。 水田房次郎の尽力や「治水拓運の碑」は、災害の教訓を後世に伝える重要な記録です 。人々の記憶が薄れても、こうした記録を通じて地域の防災への関心を高めることが求められます 。

二つ目はハザードマップの重要性です。 川島排水機場が整備されても、吉野川の内水地域は今なお水害リスクの高い地域です 。内水ハザードマップを活用し、常に水害リスクを意識して行動することが重要です 。

最後に流域全体での治水対策です。 気候変動の影響で水害が増加する可能性があるため、今後も内外水ハザードマップの作成や流域全体での治水対応が必要です 。

この写真をクリックして、現地探訪用個別調査表や写真等をご覧ください。

防災風土資源&ローテク防災術 -香川大学客員教授松尾裕治-

本サイトは、四国各地の土地柄(過去の災害経験)から、災害を未然に防ぐ目的をもって行われる災害時の避難行動や普段の備えにも生かされている取り組み、知恵・教訓が石碑などに伝承され、今日の防災に活かせる教訓がある防災風土資源の情報と誰でもが簡単にできるローテク防災術を紹介するサイトです。